愛と平和
ビートルズ・メンバーのソロ活動特集最終回は、ジョン・レノンで一番好きな曲「この1曲」を取り上げます。
ジョン・レノンは1940年生まれで、生きていれば今年で82歳ですか。私はジョンとは6年くらい同じ空気が吸えたのですが、12月のあの日のことはなんとなく覚えています。
今、生きていたらどんな活動をしていたのか。音楽を作っていたのか、アートをやっていたのか。はたまた引退して人目につかない生活をしていたのか。いろいろと想像してしまいます。そして、人の命が途中で誰かの手によって断たれてしまうことなんてあってはならないことだなと、あの日を迎えるたびに思います。
図らずもロシアがウクライナに侵攻したこのタイミングでジョンの記事を書くことになるとは。愛と平和を訴え続けたジョンのビートルズ解散後の10年。振り返りながら「この1曲」を選んでみたいと思います。
ビートルズ解散の直前、1969年にジョンはヨーコと共作したベトナム戦争の反戦歌「Give Peace a Chance」を発表。つづく「Cold Turkey」、1970年2月の「Instant Karma!」でも成功を収めます。
1970年4月にビートルズが解散となり、ジョンはヨーコ、フィル・スペクター、リンゴ、ビリー・プレストンなどとアルバムを制作。12月に最初のアルバム「John Lennon/Plastic Ono Band(邦題:ジョンの魂)」を発表します。この流れでつづく1971年には「Imagine」を発表。全米・全英1位を獲得。ジョンは拠点をニューヨークに移し、政治的な活動にも参加していきます。
1973年4月1日にはヨーコとともに架空の国家「Nutopia(ヌートピア)」を建国。イマジンの歌詞を基にした思想で、領土はなし。国境もなし。ヌートピア国籍取得に必要なのは本人の意思表示だけ。私もヌートピアの国民です。
アルバム「Mind Games」発表と同時期にジョンはヨーコと別居。ヨーコに追い出されたというのが真相で、秘書のメイ・パンとロサンゼルスで同居を始めます。この頃はリンゴやキース・ムーン、ハリー・ニルソンと過ごし、息子ジュリアンと交流しますが、同時に、酒とドラッグにまみれた危うい生活でした。
ヨーコの元に帰りたいジョンは断酒。ニューヨークに戻り、新しいアルバムをレコーディングします。1974年に発表された「Walls and Bridges(邦題:心の壁、愛の橋)」は全米1位となり、ジョンの最高傑作とも評価される傑作となりました。そしてヨーコとも再会し別居を解消します。
1975年には1950〜1960年代にヒットしたロックのスタンダード・ナンバーのカバーを収録したアルバム「Rock ‘N Roll」をリリース。このアルバムはもともとロサンゼルスでレコーディングしていたのですが、酒浸りでほとんど使えない音源だったのでニューヨークに戻ってから追加でレコーディングしたものを合わせて発表します。
同年の10月9日、ジョンと同じ誕生日に息子ショーンが誕生。以降、自らの楽曲発表はセミリタイヤし、1976年頃からハウス・ハズバンドとして子育てに専念します。
1980年の半ばあたりから新作アルバムのレコーディングを開始し、11月にヨーコとの共作「Double Fantasy」を発表。実に5年ぶりのアルバムでした。しかし、1980年12月8日。自宅で待ち構えていたマーク・チャップマンに拳銃で撃たれ、病院に運ばれますが治療の甲斐なく亡くなりました。
ジョンの死は世界中に衝撃を与え、アルバムは全米・全英で1位を獲得。1982年のグラミー賞を受賞しました。
ジョン・レノンで一番好きな曲
私がちゃんと音楽を聴き始めた中学生時代は1980年代半ばだったので、今思うと、まだ世界はジョンの死を消化し切れてなかったんだなと。ジョン関連の特集番組がテレビでもラジオでも多かったですし、絵も描いていたジョンなので、回顧展やイラストグッズの展示会なんかも多く催されていた印象です。私も展覧会でジョンの絵が入ったハンカチを買った記憶があります。この展覧会も三重県の田舎でもやっていたのでね。すごく関心のあることだったんだなと思いますね。
さて、ジョンの「この1曲」ですが、ビートルズ解散からわずか10年という短い期間なのに選べないですね。「Mother」、「Love」、「God」、「Jealous Guy」、「Give Peace a Chance」、「Power To The People」、「Happy Christmas (War Is Over)」、「(Just Like) Starting Over」、「Woman」、「Watching The Wheels」。ベスト盤が完成しそうですが、1曲だけと言われれば「Imagine」ですね。
私のような英語弱者でも意味がわかる。難しい単語なんてほとんどなく、世界中の人が理解できる歌詞ですよね。タイトルからしてワンワードですし、ピアノ弾き語りから入る曲もいたってシンプル。今こういう状況だからこそ、この曲を聴きたくなります。今後100年経とうが、必ず残る曲ですね。
そして個人的には、ジョンが亡くなってからも一貫して愛と平和を訴え続けているヨーコさんにノーベル平和賞を贈りたいのです。こういうことが起こると真っ先に思い浮かべるのはジョンとヨーコ。残念ながら生きている人しか受賞できないので、是非、平和の象徴であるヨーコさんにノーベル平和賞を。
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