“Genius of Modern Music Volume 1” について
ジャケ写経#005は“Genius of Modern Music Volume 1” Thelonious Monk。BLP 1510です。
このアルバムには1947年と1948年におこなった4回のセッションが収められていて、セロニアス・モンクにとってこれが初めてのレコーディングでした。全く無名だったモンクを起用したアルフレット・ライオンもすごいですが、この時点ですでに音楽性が完成されていてライオンの期待に応えたモンクもすごいですね。
私が好きな曲はアルバム冒頭に収録された、モンクの代表曲のひとつであり、スタンダード・ナンバーとなっている「‘Round Midnight」。モンクの独特な打鍵、和音が特徴的です。真夜中にウイスキー片手にこの曲に針を落とすのが学生の頃の楽しみでした。かなり背伸びしてましたが。今でも夜に聴くことが多い1曲です。
ジャケットは写真がフランシス・ウルフ、デザインはリード・マイルスが担当しています。私、このデザインが大好きなのでいくつかポイントを挙げますけど、まずはこのアルバムでもモノクロ写真に色を被せるダブルトーンの技法が使われています。この1510番は芥子色、続く1511番は赤色を採用。赤い1511番は今年ユニクロのTシャツにもなりましたね。あと、全体に上に寄せた大胆な構図もドキドキします。さらに、モンクの写真の指から「volume one blue note 1510」という文字が出ているという写真に絡めたアイデアもさすが。そして、最後に、文字の組み方ですね。三段にして文頭に段差を作ってバランスを取っているのもキマっていますし、名前にハイフネーション(ハイフンを入れて別れた単語がひと続きであることを表示すること)を使うのもすごい。本来OやSなど曲線で構成されるアルファベットは視覚調整のために上下が出ているものですが、ここでは3行を密接させるために上下をカットしてるんですよね。これによって美しく密接させることができてます。「MONK」が白抜きなのも情報の編集ができていて目に残ります。はぁ。素晴らしい。
私が持っている盤は国内盤(キング盤)。キング盤はジャケットも完全復刻してくれているのが嬉しいですね。やはり指先からビームのように文字が出ているデザインでないと満足できません。リバティやUA時代のジャケットはビーム出てないんですよね。オリジナル盤は軽く5万円コースだと思うので、なかなか手が出ないです。
“Genius of Modern Music Volume 1” を描いてみた
「The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia, Vol. 1」の投稿にも書きましたが、やはり文字は一発でプロポーションの狂いがわかってしまうので、細心の注意を払って描き進めました。実際、写真部分と同じくらいの時間がかかっています。モンクの写真はなんとも言えない表情ですけど、どういう瞬間なんでしょうね?何を指差しているのか?普通このアングルで写真撮られたことないですよね。戸惑ってるのかな。なかなかいい表情で、上手く描けたと思います。
ブルーノート1500番台のジャケ写経は一旦ここでストップして、ロックの名盤も描いてみたい。自然にそういう思いが出てきたので、次はロックの名盤を。この時点で描くジャケットは決めてました。次回からもお付き合いください。
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