ブルース・ハープに革新をもたらした第一人者
今日はリトル・ウォルターで一番好きな曲「この1曲」を取り上げます。
リトル・ウォルター(1930年5月1日 – 1968年2月15日)はアメリカ・ルイジアナ州マークスヴィル出身のブルース・シンガー、ハーモニカ奏者。
ルイジアナ州ラピデス・パリッシュで育ち、そこでハーモニカの演奏を学びました。学校を辞めた彼は12歳までにルイジアナを離れ、ニューオーリンズ、メンフィス、アーカンソーなどを仕事をしながら旅をしていました。彼はハーモニカとギターで音楽のスキルを磨き、サニー・ボーイ・ウィリアムソンII、サニーランド・スリム、ハニーボーイ・エドワーズなどのブルースマンたちと共演しました。
1946年にシカゴに到着したリトル・ウォルターは高度に発達していたハーモニカの演奏で注目を集めました。ウォルターは自分のハーモニカがエレキ・ギターにかき消されてしまうことに不満を感じていたと言われていて、シンプルでありながら当時あまり使われていなかった方法を採用しました。彼はハーモニカと一緒に小さなマイクを手に持ち、そのマイクをPAやギター・アンプに接続することで、どんなギタリストの音量にも対抗することができました。
リトル・ウォルターは、アンプの限界を超えた音量で演奏し、その結果、以前は聴こえなかったハーモニカや他の楽器の新しい音色や音響効果を探求、開発。ディストーションを意図的に使用した初めてのミュージシャンといわれています。
1947年に最初のレコーディングをおこない、シングルをリリース。 1948年にマディ・ウォーターズのバンドに参加し、1950年にはウォーターズのレコーディングでハーモニカを演奏しました。リトル・ウォルターのプラグインしたハーモニカが初めてレコードに登場したのは1951年7月11日に録音されたウォーターズの「Country Boy」でした。1952年にウォーターズのバンドから脱退した後も、チェス・レコードはウォーターズのレコーディング・セッションで演奏するためにウォルターを雇い続け、その結果、彼のハーモニカはウォーターズの1950年代の名盤のほとんどでフィーチャーされています。
リトル・ウォルターはギタリストとして、ウォーターズ、ベイビー・フェイス・リロイ・フォスターと共に3曲を録音したほか、チェスのバッキング・ピアニスト、エディ・ウェアのセッションにも参加。彼のギター演奏はウォーターズやジミー・ロジャースとの初期のチェスのセッションでも時折フィーチャーされています。
1952年5月にチェスの子会社であるチェッカー・レコードにバンドリーダーとしてレコーディング。「Juke」がビルボードのR&Bチャートで8週間トップを記録しました。この曲は現在でもビルボードR&Bチャートでナンバーワン・ヒットを記録した唯一のハーモニカ・インストゥルメンタルとなっています。
ウォルターは1952年から1958年までの間にビルボードのR&Bチャートで14曲のトップ10ヒットを記録しており、その中には2曲のNo.1ヒットが含まれ、商業的な成功を収めました。
この頃からウォルターはアルコール依存症に苦しみ、1950年代後半には暴力的な口論や無責任な行動が増えていきました。このため、彼の名声と財産は衰退していきました。
それでも彼は1964年と1967年と2回ヨーロッパ・ツアーをおこない、1967年のヨーロッパ・ツアーはアメリカン・フォーク・ブルース・フェスティバルの一環として行われたもので、リトル・ウォルターが演奏した唯一のフィルム映像が残されています。
2度目のヨーロッパ・ツアーから帰国して数か月後、リトル・ウォルターはシカゴのナイトクラブでのパフォーマンスの休憩中に喧嘩に巻き込まれます。彼が受けた怪我は軽傷でしたが、以前に受けていたダメージをさらに悪化させ、翌朝ガールフレンドのアパートで寝ている間に亡くなりました。まだ37歳でした。
リトル・ウォルターで一番好きな曲
私がリトル・ウォルターを初めて聴いたのはかなり後になってからでした。もう社会人になっていたと思います。ストーンズを掘っていくと必ずぶつかるビッグネームですし、マディ・ウォーターズのバックをつとめていたのに、なんでリトル・ウォルターまで掘らなかったのか自分でも謎ですが、知ってからは現在まで一番聴いているブルースマンかもしれません。
リトル・ウォルターの特徴というとハーモニカということになるんですけど、ほかのブルースマンに較べてアップテンポの曲が多くて、ロックンロールに近いというのも特徴だと思います。他のブルースマンが巨体で貫禄たっぷりな人が多い中、リトル・ウォルターはもっと殺気立っていて、ヤンチャで好奇心旺盛な感じ。違う怖さがあります。それは音楽にもあらわれている気がしますね。
リトル・ウォルターで一番好きな曲「この1曲」は、「Hate To See You Go」を選曲します。
ストーンズの2016年の作品「Blue & Lonesome」はリトル・ウォルターの曲を多く取り上げていましたが、この曲も収録されていますね。アップテンポでヴォーカルも刺々しくて切れ味がいい。もちろんハーモニカも音割れるぐらいブッ放していてかっこいいです。
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