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アーニー・ディフランコ「Revolutionary Love」を聴いた

レビュー

通算20作目のアルバム

アーニー・ディフランコの通算20作目となる新作アルバム「Revolutionary Love」が1月29日にリリースされました。今回のアルバムはAmazonで購入しましたが、発送が遅れ、なかなか手元に届かずやきもきしました。日本国内盤はもう何年も出ておらず、輸入盤を手に入れていますが、今回は遅かったですね。アメリカから直接購入した方が早そうですが、配送料を考えるとAmazonを選んじゃいますね。なんならアーニーのレーベル、ライチャス・ベイブの日本支社でも作ろうかと思っちゃいます。

そんなわけで待ちに待った新作だったのですが、やっぱり最高の1枚でした。「アーニーがやるならなんでもOK」になってしまっている私が言うのであまり信用ないかもしれませんが、今回は素晴らしい。というわけで紹介していきます。

いつもながらアートワークは最高

曲の感想に入る前に、アーニーのアルバムというと外せないのがアートワーク。今回も流石の仕上がりです。写真の美しさもさることながら、書体の選び方、字間調整など、うっとりしてしまいます。
パッケージとして品格があり、CDだけじゃなくアナログも欲しくなる出来ですね。

収録曲

トラックリストは全11曲でトータル56分。

  1. Revolutionary Love
  2. Bad Dream
  3. Chloroform
  4. Contagious
  5. Do or Die
  6. Station Identification
  7. Shrinking Violet
  8. Metropolis
  9. Simultaneously
  10. Confluence
  11. Crocus

1曲目はタイトル曲「Revolutionary Love」。ジャジーで落ち着いた曲調で、ウェットな印象。ハモンドオルガンやストリングスが効いてて一言で言えば「上質」。最高の出だしという感じ。幾度かの音楽的な変遷を経てきたアーニーですが、今回は「To The Teeth」あたりのサウンドの感触なのかなと感じました。

そして余韻を引きずりながら2曲目「Bad Dream」。この曲もスローで繊細な作りでアーニーの声はかわいらしく、澄んでいて、切ない。また、ギターも表現力豊かです。ここまでの2曲で個人的にはもう名作認定。

そして3曲目「Chloroform」。これまでとは一転してドラムが前面に。オルタナ的なメロディがアーニーらしさを醸し出します。ストリングスの使い方が絶妙。4曲目「Contagious」もストリングスやサックスが印象的。

5曲目が先行シングルだった「Do or Die」。MVでスキンヘッドになるアーニーはなかなか衝撃でした。この曲もコンガ、フルート、ハモンドオルガン、ストリングス、ホーンが適材適所で入り乱れ、音の洪水状態。最高です。

その後も、アーニーのヴォーカルの表現力が際立つミディアム・ナンバーの7曲目「Shrinking Violet」、シングルカットされた「Simultaneously」など、聴けば聴くほど味わい深い楽曲が揃います。

そして、約1時間のアルバムを締め括る曲「Crocus」。シンプルな曲調ですが、さまざまな楽器が入りつつ統制されていて美しい。多幸感に溢れたエンディングです。

アルバムを通して聴いて感じることは、アーニーの芯の部分は何一つ変わっていないけれど、音作りが現代にアジャストされているということ。緻密で洗練されています。アーニーはレコーディング嫌いだったはずだけれど、スタジオでの作業が多く、かなり作り込まれたアルバムですね。これも籠るしかないというコロナの影響かもしれませんね。

もともとギター弾き語りでデビューしたアーニーが、ここまでのアンサンブルをディレクションして制作していることに驚きますし、今後も枠にとらわれず良質な音楽を届けてくれそうです。最近はニューオリンズでギャラクティックとも共演しているアーニー。今後の活動にも目が離せません。

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