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ゴーゴー・ペンギン「GoGo Penguin」を聴いた

レビュー

通算5作目のアルバム

ゴーゴー・ペンギンの通算5作目となるセルフタイトル・アルバム「GoGo Penguin」。

日本では2020年6月5日に先行リリースされました。

私のTwitterでは毎晩Jazzの曲を紹介しているのですが、リリース後はアルバムからの曲を連投していました。

手元に届いてから1週間程度、毎日プレイして身体に染みてきたところです。

ゴーゴー・ペンギンを簡単に評するなら、エレクトロニカ的な音をアナログのトリオで表現しているバンド。

その演奏は3人の完璧なコンビネーションによって表現されるかなりテクニカルなもの。

ジャズ・フォーマットのピアノ・トリオではあり、ジャズの名門ブルーノートに所属していますが、音楽性はジャズともエレクトロニカとも取れるものです。

繊細なピアノの細やかな表現で紡ぎ出されるメロディと、時に呼応し、時に闘うようなコントラバス、シャープでダイナミックな印象を下支えし、時にあっと驚くようなプレイを見せるドラムスが特徴です。

お互いの信頼関係がさらに深まった渾身の11曲

トラックリストは以下の11曲。

  1. 1_#
  2. Atomised
  3. Signal In The Noise
  4. Open
  5. F Maj Pixie
  6. Kora
  7. Totem
  8. Embers
  9. To The Nth
  10. Don’t Go
  11. Petit_A

アルバムのアートワークはマークだけが立体的に描かれたこれ以上ないシンプルさ。そしてアルバムタイトルも「GoGo Penguin」とシンプルを極めています。

「これがゴーゴー・ペンギン」と自信を持って提示している感じ。

そして曲名もシンプル。1曲目だから「1_#」とか、9曲目だから「To The Nth」とか、他の曲も極力ずばりそのままという感じの曲名。

この辺はいつもどおり潔いというか、余分な先入観なく曲に入れますね。

ライナーノーツによると今回のアルバムでは、6ヶ月間の作曲期間、そしてレコーディングに2週間をかけたということ。レコーディングはこれでも十分長いらしく、年間200日世界をツアーしている彼ら。これまでのアルバムはなんと3日間しかレコーディングにかける時間がなかったとのこと。

全体的なアルバムの印象ですが、ゴーゴー・ペンギンらしい繊細さと、ダイナミズム、そして3人しかなし得ないような見事なコンビネーションは健在です。

大きく変わったところはないけれど、いつもよりも作り込まれている印象。

特筆すべきはブラッカのベースが最高なこと。

これまでも弓引きなどで前面に出ることもありましたし、ベースを聴くためのパートも多々あったんですが、今回は何か吹っ切れていて、かなり聴き応えがあります。

「僕はコントラバスを弾くので、僕たちの音楽には常にジャズを取り入れたいと思っていた。でも、アルバムを重ねていくうちに、だんだんとジャズ・バンドではないということを受け入れられるようになってきたんだ。この新しいアルバムでは、“もう、心配することは何の意味もない!”と思えたんだ。それは、僕たち全員にとって、本当に自由なことだった

ライナーノーツより引用

このブラッカの言葉がこのアルバムを物語っている気がします。

表層は変化したように見えないけれど、3人の信頼関係はより強固なものになっている感じが音から読み取れるんです。

ファンとしてはそこに喜びを感じますし、この先はどこに連れて行ってくれるんだろうという期待もしてしまう。そんなアルバムでした。

フジロックは延期になってしまいましたけど、来年のラインナップにもゴーゴー・ペンギンの名前が並ぶことを期待して待ちます。

苗場の山に跳ね返って会場を包む3人の音を体験したいものです。

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