ルーツ・ミュージックの鬼才
ミュージシャンの楽曲の中で好きな曲を1曲だけ選んで紹介していく「この1曲」。
今日はライ・クーダーを取り上げます。
ライ・クーダーは1947年アメリカ・ロサンゼルス生まれのミュージシャン。
3歳からギターを手にしたライは16歳から音楽活動を開始し、
1967年にキャプテン・ビーフハートのアルバム「Safe As Milk」の録音に参加し、注目を集めます。
この頃にはタジ・マハールなどとともにライジング・サンズで活動したり、ランディ・ニューマンと共演するなど、キャリアを着実に積んでいきました。
そして、ライの名を世に知らしめたのが、ローリング・ストーンズの1969年のアルバム、「Let It Bleed」への参加。
先行シングルとなった「Honky Tonk Women」でオープンGのチューニングなどはライが考案したものという逸話も残されています。
また、このブログでは昨日紹介したリトル・フィートのファースト・アルバムにも参加。「Willin’」のスライドを担当しています。
1970年にはファースト・アルバム「Ry Cooder」をリリースしてデビューを果たします。
アメリカのルーツ・ミュージックの影響を受けた渋すぎるアルバムでした。
以降もブルース、ゴスペル、カリプソ、カントリー、フォーク、ジャズ、ハワイアンなどなど、
世界各地のルーツ・ミュージックを取り上げたアルバムを数多く制作。
また、80年代以降はヴィム・ヴェンダース監督と組んで映画音楽にも進出。
1984年にはカンヌ受賞作の「パリ、テキサス」のサウンドトラックを制作。
1996年にはキューバの地元ミュージシャンとともに制作した「Buena Vista Social Club」が大ヒット。
1999年には同名の映画も大ヒットしました。
ライ・クーダーで一番好きな曲
私がライ・クーダーを真面目に聴いたのは大学生になってからだったと思います。
スライドギターの名手、前述のホンキー・トンク・ウィメンの逸話、ワールドミュージックの作品群などなど、ハマる要素満載でしたが、
それまではなぜか敬遠していたんです。
時代的にブエナ・ヴィスタが流行っていたというのもあるんですけど、
「Buena Vista Social Club」から入って、さかのぼっていきました。
多くのアルバムを多種多様なテイストで制作していますが、
一番私が聴き込んだアルバムは1976年発表の「Chicken Skin Music」。
ハワイアンを取り入れたアルバムですが、リラックスしたサウンドが心地良くて、
なんか気づいたらこればっかり聴いていました。
私の「この1曲」も「Chicken Skin Music」から。
「Always Lift Him Up/Kanaka Wai Wai」を選曲します。
「Always Lift Him Up」をベースに、間奏部分のインストゥルメンタルにハワイのゴスペルである「Kanaka Wai Wai」を挿入してできている曲。
民族音楽ってヘタをするとトラディショナルに聴こえすぎたり、焼き直し感が出たり、
そもそも年配の人が聴く音楽という感じで入り口を閉ざしてしまいがち。
しかしライ・クーダーのやってる民族音楽って、影響はもちろん多分にあるんですけど、
まずは、演奏者として、民族楽器に興味があるんじゃないかと思うんです。
楽器に触れているあいだにいろんなイメージが出てきて、
いかにもライ・クーダーが作った音楽につながっていくんじゃないかなと感じていて、
この曲もそんな感じがよく出てると思います。
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