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【おすすめ】ジャズ・ピアニストのブラッド・メルドーがカバーしたレディオヘッド

音楽全般

ロック曲カバーの名手

新型コロナウイルスの外出自粛期間に、オランダの自宅で制作したニュー・アルバム「Suite: April 2020」をリリースしたブラッド・メルドー。

デジタルと限定アナログ盤が発売中でCDは9月18日に発売予定となっています。

今回のアルバムでもニール・ヤングやビリー・ジョエルの名曲をとりあげていますが、ブラッド・メルドーはカバーの名手で、これまでも多くのロック曲を独特の解釈でカバーしています。

そんなカバー曲の中でも特に彼とは同世代のレディオヘッドには思い入れのあるメルドー。

今日はブラッド・メルドーのセンスが光るレディオヘッドのカバー曲を紹介します。

Exit Music(For A Film)

まずはレディオヘッドが1997年に発表した「OK Computer」の収録曲「Exit Music(For A Film)」です。複数の収録がありますが、スタジオ録音の「Songs: The Art of the Trio Volume Three」に収録されたバージョンがおすすめ。メルドーはこの曲で初めてレディオヘッドをレコーディングしました。原曲に忠実でありながら、メルドー独特のズレ、強弱によって心地よさと不安定さが同居するような感覚を演出しています。

Paranoid Android

つぎも「OK Computer」に収録の「Paranoid Android」。メルドーが初めてカバーしたのが、2002年発表の「Largo」。トリオとしてのアルバムでした。ピアノ一音一音の間、長さ、タイミングが心をえぐるように響いてきてサラっとは聴き流せません。ベース、ドラムとのスリリングな絡みも聴きごたえあります。

そして、ソロ・ピアノでも演奏していて、東京でのライブ・アルバム「Live in Tokyo」に収録されています。このバージョンはブラッド・メルドーの「この1曲」で取り上げています。19分を超える演奏ですがあっという間です。

ライヴ・イン・トーキョー
ワーナーミュージック・ジャパン

Jigsaw Falling Into Place

次はレディオヘッドが2007年に発表した「In Rainbows」に収録された「Jigsaw Falling Into Place」。この曲のカバーはメルドーの2004年から2014年までの10年間のライブ演奏をまとめたアルバム「10 Years Solo Live」に収録されています。前半は原曲に忠実に推移しますが、途中からは音数の多いキラキラしたアレンジでメルドー独特の解釈で世界観を構築し、終盤はまた原曲に戻ってきます。おかえりって感じ。

Knives Out

2001年発表の「Amnesiac」に収録の「Knives Out」もメルドーが好んでプレイする楽曲。初演は「Day Is Done」に収録されたトリオでの演奏。もともと不安定な楽曲ですが、原曲を再構築しアレンジを施したこの曲は不安を持ちながら突っ走るみたいな疾走感を覚えます。

Everything in Its Right Place

最後は「Kid A」収録の「Everything in Its Right Place」。メルドーは「Anything Goes」にトリオ編成でレコーディングしています。序盤、随所に放り込まれる不協和音が不安感を演出しています。連打する単音も印象的。4分30秒あたりからのドラマティックなドラムスに引っ張られ、最後は不協和音もなく、あるべきところに音が落ち着いて行きます。

まとめ

ざっとリストアップしてみましたがいかがだったでしょうか。ブラッド・メルドーはレディオヘッドをかなり特別視しているようで、アルバム「Largo」のライナーノーツに収められているインタビューで以下のようにコメントしています。

レディオヘッドの音楽は、とても他人事とは思えない。なぜなら彼らが表現している閉塞感や虚無感は、僕自身が抱えているものでもあるから

ライナーノーツより引用

レディオヘッドが表現する音楽の主題を読み取り、それを自分の世界観になぞらえて再構築しているブラッド・メルドーのカバーは、原曲に共感し、ときに補強し、また、違う見方を提示していて、私自身も共感してしまうものばかりなのです。

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